極真の試合を観ていると、額をくっつける程にベタベタに接近して膠着状態になっている光景をよく見ます。
あんな、お互い攻撃もロクに出来ない距離でモタモタして何やってんだ?って思いますよね。
アレには理由があるんです。
トップ選手同士のハイレベルな試合でよく起こる、ベタベタに接近してお互いに膠着状態になってしまう現象。
離れて戦えよ!って思いますよね?
アレは離れられない理由があるんです。
今回は、試合中に何で接近して膠着状態になってしまうのかを解説していきます。
よろしくお願い致します。
目次
何で接近しちゃうのか?
吹っ飛ばされるから
一つ目は、相手のパワーや圧力が強過ぎて「その場で堪えられない」という理由が挙げられます。
普通に構えている状態で攻撃を喰らったら、パワー負けして吹っ飛ばされてしまうんです。
相手に突っ込んで突進し続けながら組手を展開しなければ、押されず下がらずの状態をキープするのも難しいのです。
なので、攻撃と攻撃の隙間の時間でどんどん間合いが詰まっていき、すぐに身体と身体がくっ付く距離にまで接近してしまうというワケです。
間合いを潰して、攻撃の威力を半減させている
離れた間合いで攻撃を喰らうと、攻撃の威力が最大限に発揮される距離で攻撃を喰らう事になります。
そうするとダメージの蓄積がハンパないですし、スグに効いてしまって厳しい展開になってしまいます。
間合いを詰める事によって、突きはフック系しか打てなくなりますし、蹴りは出せなくなるのでお互い「効かせる攻撃」は出せなくなります。
そうなってくると、くっ付いて相手の攻撃を封じ、パッと離れて攻撃をし、またくっ付くみたいな展開になってきて、おしくらまんじゅうの様なよくある展開になってきてしまいます。
実際どんなカンジになるのか?
塚越孝行選手VSヴァレリー選手
第9回全世界大会の準決勝の試合なんですけど、ヴァレリー選手は本来間合いを取ってしっかりと技をキメていく組手をするのですが、この試合は効いてる効いてないは別として、塚越選手のパワーに苦戦していたカンジが見て取れます。
ヴァレリー選手から積極的に間合いを潰しに行って、額と額がくっつく場面が多々見受けられます。
ヴァレリー選手はくっ付いては離れて中段蹴りを出し、有効打を叩き込んではまたくっ付くという事を繰り返して上手く攻略しています。
でも、例えば2分39秒辺りなんですが、ヴァレリー選手が左中段蹴りを放った所に塚越選手が左の突きを肩口に入れてるんですが、突き1発でヴァレリー選手が一気に押し込まれて下げられている光景があります。
こういう一瞬の場面で、塚越選手の圧力の強さと、その圧力に何でも無い様に耐えているヴァレリー選手が見て取れます。
ヴァレリー選手も世界トップクラスの選手ですが、塚越選手に対して突っ込み続けていないと、その場で耐える事すら厳しい展開だったという事がこういう所で分かります。
顔面パンチ無しのルールも原因の一つとしてある
極真ルールでは手での顔面攻撃は反則行為なので、顔面への攻撃は蹴りにだけ気を付けていれば良いワケです。
なので、一番気をつけなければイケない瞬間というのは、開始線から接近してファーストコンタクトを取る瞬間にあります。
開始線から接近する間が一番、上段蹴りを出しやすい状況なので、皆この瞬間を何とかしたいワケです。
接近して上段蹴りを封じた後は、接近した間合いをキープして上段蹴りを出せない間合いで戦い続ければ、後はパワーとスタミナ勝負に持ち込めます。
結果、皆が上段蹴りを警戒して接近した間合いで戦い続ける事になりやすくなるというワケです。
まとめ
今回は、何で極真の試合は接近しておしくらまんじゅうの様になってしまうのかを解説しました。
実際喰らえば分かるんですが、例えばベンチプレス180kgとか挙げる人と組手をした場合、効く効かないは別として問答無用で一気に吹っ飛ばされてしまいます。
前に突っ込んで、突進し続けても下げられてしまうので、全日本大会のトップクラスの選手同士だとその状態が常に起こっていると思って良いと思います。
その圧力とパワーの中、いかに下がらずに自分の組手を展開するかがポイントですが、これが相当難しいんです。
ムリするとソッコーでスタミナが無くなるし、でも下がったら負けるし、っていう状態で組手を行うと自然と接近状態が多くなり、膠着状態も多くなります。
なのであれは、技の威力や圧力、ウェイトトレーニングで鍛えたパワーが上がればあがる程、ああいう展開になってしまいがちになるという事です。
下がらない様に、効かない様にしようとした結果、自然と身体と身体がくっつく程接近してしまい、膠着してしまうというワケです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。