道場に行けば必ず基本稽古をやりますが、毎回同じ動きを反復するのに何の意味があるのか。

 

何10回と突いたり蹴ったりするからスタミナがついて強くなるんじゃないかと思う人もいるかと思いますが、本当の意味はそうではありません。

 

白帯くん
基本って毎回何10回と蹴ったりするじゃないですか?それで身体が鍛えられて強くなっていくんじゃないんですか?

 

黒帯先輩
そう思うだろ?まあそれもあるんだけど、本当の意味は違うところにある!今日はそれを教えようか!

 

基本稽古をきちんと理解していれば組手の技術が向上する理屈を説明していきます。

 

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基本稽古

 

基本稽古って同じ立ち方で同じ動きをひたすら反復練習します。反復練習をする事によって身体が鍛えられるというのもありますが、この動きに意味ってあるのか疑問ですよね?

 

「三戦立ちをして正拳中段突き」をする機会というのは、実戦では皆無と言って良いです。漫画とかなら「電車の中や船の上で喧嘩する時にやってみろ」みたいな事もあるかもしれませんが、実際はこんな状況はありえません。

 

じゃあなんでそんな意味の無い事を毎回行なうかと言ったら、この「同じ立ち方、同じ動きを反復するという事」に意味があるのです。

 

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身体の操作性が上がる

 

毎回同じ立ち方、同じ動きをする事により、自分が今どんな体勢なのか?どんな動きなのかが鏡を見なくても理解出来る様になってきます。

 

そして同じ動きを何年も繰り返す事により微細な変化が段々分かる様になり、自分で修正出来る様になります。

 

そうなると自分の身体の操作性が上がってくるのです。

 

ゲームで言ったら、キャラクターをコントローラーで動かす技術が向上すると言えば分かり易いかもしれません。

 

キャラクターを動かすのには最初はぎこちないかもしれませんが、操作に慣れてきたら先読みなどをしてキャラクターを自在に操れる様になりますよね。

 

この「自分の身体を操作するスキル」を上げるのに大いに役立つのが基本稽古の本質なワケです。

 

白帯くん
確かに毎回同じ動きをしてると「なんか今日は違うな」って気付く事がありますよね!

 

黒帯先輩
その「いつもと違う」と気付けるのが大事なんだ!そうすると「こうすれば良いのかな?」と自分なりに動きを微調整するハズだ!その気付きと修正を繰り返す事によって、段々と身体の操作性が上がってくるんだ!

 

ポイント
毎回同じ立ち方・同じ動きを反復する事により、「何かいつもと違うな」と自分の動きの微細な変化に気付く事が出来る様になります。そして自分で動きを修正していく作業を繰り返すと、「身体の操作性」が向上してきます。

 

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組手やミット打ちでは変化に気付きづらい

 

ミット打ちや組手の動きは、良くも悪くも自分の動きやすい様に動けてしまいます。

 

ミット打ちも、ミットを持ってくれる人や位置や高さ・角度が変われば、蹴り方や蹴る姿勢や力の入れ方が変わります。

 

そうすると基準とか無く、自分の蹴りやすい様に蹴ってしまい自分の動きの「違和感」に気付けずに、他人に指摘されるまでそのままになってしまう事が多くなってしまいます。

 

この様に組手やミットやサンドバッグの様な、自分以外の第三者の環境で動きや体勢が変わってしまう状況だと、自分の中の「動きの基準」の小さな変化に気付けなくなるので、変なクセが付くなど悪循環に陥りやすくなってしまいます。

 

白帯くん
言われてみると組手とかミット打ちは自分の動きやすい様に動いちゃいますね!その時の自分の状態で動きやすい様に動いちゃいけないんですか?

 

黒帯先輩
それだと毎回動きがバラバラになっちゃうじゃんさ!自分の動きやすい動き=良い動きではないから、正しい動きを身に付けないとダメだ!

 

ポイント
ミット打ちや組手の様に、自分以外の第三者が要因で自分の動きが変化してしまうと、自分の中で作り上げている動きの型の微妙な変化に気付けなくなってしまいます。そのまま気付かずに自分の動きやすい様に動いていると、段々と自分の動きが崩れてきて変なクセが付いてしまいます。それを修正する意味でも基本稽古が大切になってきます。

 

基本稽古で得た「気付き」を、組手にフィードバックする

 

基本稽古をやっていて「この突きの時は、こうやって腰を切った方が力が伝わるんじゃないか」とか、フッと気付く事があります。

 

これは毎回同じ立ち方・同じ体勢で突きや蹴りをやるからこそ得られる、日常では気付かない小さな「気付き」です。

 

基本をやっているだけでは組手が強くならないと思っている人も多いと思いますが、この「気付き」で得られた身体の操作を組手に応用すれば組手の技術も向上するというワケです。

 

ポイント
基本で得られた身体の操作方法は、組手だけでなく移動や型など全ての動作で応用できます。極端な事を言うと普段の日常の動作ですらムダが無くなり、自分の動き自体が洗練されてきます。組手の技術というよりも、自分自身のスキルが上がります。

 

まとめ

 

基本稽古というのは、動き自体はそのまんまでは実戦で応用するのは難しいです。

 

ですが同じ動きをずーっと繰り返す事によって、細かい変化や「こうやって動かせば良いのか?」と言った小さな事に気付く事が出来る様になってきます。

 

そうやって「こうかな?」って自分の中で細かく身体を操作する事によって、「身体の操作性」が向上して段々と自分の思い通りに身体が動かせる様になります。

 

こうやって基本で気付いた身体の操作方法を組手に応用する事によって、結果的に予備動作が無くなってきて、蹴りや突きの威力が上がってくるというワケです。

 

基本が終わった頃に顔を出して稽古に参加する人も居ますが、時間に余裕があって基本から出れるのであれば勿体無いので基本稽古から参加した方が絶対良いと思います。

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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