道場に行けば必ず基本稽古をやりますが、毎回同じ動きを反復するのに何の意味があるのか。
何10回と突いたり蹴ったりするからスタミナがついて強くなるんじゃないかと思う人もいるかと思いますが、本当の意味はそうではありません。
基本稽古をきちんと理解していれば組手の技術が向上する理屈を説明していきます。
基本稽古
基本稽古って同じ立ち方で同じ動きをひたすら反復練習します。反復練習をする事によって身体が鍛えられるというのもありますが、この動きに意味ってあるのか疑問ですよね?
「三戦立ちをして正拳中段突き」をする機会というのは、実戦では皆無と言って良いです。漫画とかなら「電車の中や船の上で喧嘩する時にやってみろ」みたいな事もあるかもしれませんが、実際はこんな状況はありえません。
じゃあなんでそんな意味の無い事を毎回行なうかと言ったら、この「同じ立ち方、同じ動きを反復するという事」に意味があるのです。
身体の操作性が上がる
毎回同じ立ち方、同じ動きをする事により、自分が今どんな体勢なのか?どんな動きなのかが鏡を見なくても理解出来る様になってきます。
そして同じ動きを何年も繰り返す事により微細な変化が段々分かる様になり、自分で修正出来る様になります。
そうなると自分の身体の操作性が上がってくるのです。
ゲームで言ったら、キャラクターをコントローラーで動かす技術が向上すると言えば分かり易いかもしれません。
キャラクターを動かすのには最初はぎこちないかもしれませんが、操作に慣れてきたら先読みなどをしてキャラクターを自在に操れる様になりますよね。
この「自分の身体を操作するスキル」を上げるのに大いに役立つのが基本稽古の本質なワケです。
組手やミット打ちでは変化に気付きづらい
ミット打ちや組手の動きは、良くも悪くも自分の動きやすい様に動けてしまいます。
ミット打ちも、ミットを持ってくれる人や位置や高さ・角度が変われば、蹴り方や蹴る姿勢や力の入れ方が変わります。
そうすると基準とか無く、自分の蹴りやすい様に蹴ってしまい自分の動きの「違和感」に気付けずに、他人に指摘されるまでそのままになってしまう事が多くなってしまいます。
この様に組手やミットやサンドバッグの様な、自分以外の第三者の環境で動きや体勢が変わってしまう状況だと、自分の中の「動きの基準」の小さな変化に気付けなくなるので、変なクセが付くなど悪循環に陥りやすくなってしまいます。
基本稽古で得た「気付き」を、組手にフィードバックする
基本稽古をやっていて「この突きの時は、こうやって腰を切った方が力が伝わるんじゃないか」とか、フッと気付く事があります。
これは毎回同じ立ち方・同じ体勢で突きや蹴りをやるからこそ得られる、日常では気付かない小さな「気付き」です。
基本をやっているだけでは組手が強くならないと思っている人も多いと思いますが、この「気付き」で得られた身体の操作を組手に応用すれば組手の技術も向上するというワケです。
まとめ
基本稽古というのは、動き自体はそのまんまでは実戦で応用するのは難しいです。
ですが同じ動きをずーっと繰り返す事によって、細かい変化や「こうやって動かせば良いのか?」と言った小さな事に気付く事が出来る様になってきます。
そうやって「こうかな?」って自分の中で細かく身体を操作する事によって、「身体の操作性」が向上して段々と自分の思い通りに身体が動かせる様になります。
こうやって基本で気付いた身体の操作方法を組手に応用する事によって、結果的に予備動作が無くなってきて、蹴りや突きの威力が上がってくるというワケです。
基本が終わった頃に顔を出して稽古に参加する人も居ますが、時間に余裕があって基本から出れるのであれば勿体無いので基本稽古から参加した方が絶対良いと思います。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。