空手は基本的に素手で稽古するので、叩く時にキチンと拳を握り込んでないと手首や拳がヤラレてしまいます。
そこでよく話題に挙がるのが「握力=パンチ力」ですが、実際には握力を鍛えてもパンチ力が上がるワケではありません。
握力を鍛えてもパンチ力自体は上がりませんが、「体感パンチ力」は上がっていきます。
この理論を説明していきます。
体感パンチ力とは
例えばパンチングマシーンでパンチ力を計測して、100kgだったという人が2人居たとします。そこで実際にその2人からパンチを喰らって、ダメージが全く同じかと言ったらそうではありません。
この「実際喰らったパンチ力」、ダメージとして自分が体感するパンチ力を「体感パンチ力」と呼ぶ事にします。
握力と体感パンチ力の関係
拳が硬くなる
1つは握力が強いと拳をより握り込めます。そうすると拳が硬くなり、相手に当たった時のパンチの質が硬くなります。逆に握力が弱いと拳の中に空白が出来てしまって、その空白が叩いた時にクッションの役割りになってしまい衝撃が逃げてしまいますので、体感パンチ力が上がる1つの利点になります。
手首と拳が固定される
拳を握り込んでいくと、握り込む強さと比例して拳と手首の一体感が増していってガッチリ固定されてきます。逆に握力が弱いと、叩いた時に自分のパンチ力に負けてしまって手首が曲がってしまいます。これは真っ直ぐ突いても力が逃げてしまい、パンチ力を伝えきれてない状態になってしまいます。
これは握力40kgで握り込むのと、握力70kgで握り込むのとでは全く変わってきます。
僕の例で言うと、中学の時で握力52kg。20歳過ぎて握力70kgまで鍛えましたが、本気で握り込んでパンチを打った時の感触は、握力70kgで握り込んだ時のパンチのが相手の身体へのメリ込み方が全然違います。
50kg~60kgでも握力は強い方だとは思いますが、70kgに上がった時でも感触は変わったので、これを踏まえて考えると握力が上がれば上がる程体感パンチ力が上がるという事になります。これに関しては上限無く上がっていくと思います。
握力が強ければ拳が鈍器になる
握力が強い程、手首と拳を真っ直ぐ保てるので、ガードをされて腕とかに当たってもお構いなしにダメージを与えられます。
これはパンチを真っ直ぐ当てられなくても、手首が曲がらないので力が逃げません。ナナメに当たろうが何だろうが力が逃げない硬い質感のパンチを喰らう事になるので、素手で戦う空手ならではですが、ガードした腕を破壊する事も十分可能です。
握力が強ければ強い程拳が硬くなり、手首と拳の一体感が増してパンチ力を逃がさずに相手に伝える事ができます。
パンチ力自体は変わらず、パンチ力を無駄なく伝えられるという事になります。
トンカチと一緒
トンカチと一緒で、頭の部分が木と鉄では力の伝わり方が全然違いますよね。
あと、頭と柄の部分に隙間がありグラグラしているのと、隙間が無くカッチリしているのでは力の伝わり方が違います。
握力を鍛えて強くするというのは、トンカチの頭の部分を木から鉄へ、頭と柄の部分の隙間を埋めていく作業になるので、叩く力自体は何も変わらないのです。
まとめ
握力を鍛えるとパンチ力をムダ無く伝える事が出来る様になるので、与えるダメージが上がります。
パンチ力(叩く力)自体は変わらないので、パンチを打つ側からしたら本当にダメージが増えてるのか疑問に思うかもしれませんが、叩いた時の感触が変わるので間違いなく与えるダメージは上がります。
下手にウェイトトレーニングして筋力を付けるよりも、握力を鍛えた方のが「体感パンチ力」は上がるので、パンチで勝負するというのであれば握力を鍛えた方が良いと思います。
パンチで効かせられれば組手を有利に運べるので、握力を鍛えてワンランク上の組手を展開できる様になりましょう。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。