よく試合で胸に突きを打って相手が下がる場面がありますよね。
あれは実際に効いてしまって下がっているのでしょうか?
それとも力で押し込まれて、力負けして下がってしまっているのでしょうか?
理想なのは突きを効かせて下げさせる事ですが、力で押し込んで下げさせている場合、その突きは実際効いているんでしょうか?
今日は突きを力で押し込んだ場合、実際どうなのか解説していきたいと思います。
目次
力で押し込む突き
力で押し込む突きとはどういう状態なのかというと。
上のイラストは、突きが相手に当たったけど全く相手がビクともしておらず軸も崩せていません。
これは相手に当たった瞬間に突きの威力が殺されてしまって、この時点でもう「突き」という意味では終わってしまっている状態です。
なのに、
この状態から無理やり力で押し込んで相手を下げさせる事が「押し込む突き」になります。
この押し込む突きは、見た目は突きですけど握り拳で相手を押しているだけの状態です。
押し込む突きは効かない
突きが当たったけど相手の軸がブレず、ビクともしないカタい感触だった場合は当たった瞬間に突きの威力が殺されています。
そしてこの状態からグイッと押し込んでも、「相手の胸に拳をそっと触れた状態から力一杯押し込んだ状態」と何ら変わらないのです。
一見すると突きで押し込まれてる様に見えますが、実際は「突きが当たる」→「そこから押し込む」の2挙動になってるだけなので、下がったからといってダメージがあるワケではないんです。
もちろんノーダメージかと言ったらそうではありませんが、胸で止めた時に「イテッ」と思う程度でこういう時は効いていません。
押し込む突きのデメリット
押し込む突きのデメリットは、スタミナを消費してしまう事です。
これは相手も下がらない様に前に体重を掛けているので、その踏ん張っている相手を片手で押し込むというのは身体全体の力を使うのでかなり疲れます。
これは体重差があればあるほどスタミナの消費量は増えていくので、押し込む突きを多様していたらあっという間にスタミナ切れを起こしてしまいます。
道場でのスパーリングなら良いかもしれませんが、試合になると「延長戦」などがあり、尚且つ勝ち上がっていけば1日に何試合も行なう事になるのでオススメはしません。
押し込む突きを多様する人の特徴
これは自分も経験があるのですが、ウェイトトレーニングをやってパワーが付いて体重が増量した人に多い傾向にある様に思います。
ウェイトトレーニングにハマると、力を込めて直線的に重いモノをあげる行為に慣れてしまいます。
こういった「突きで直線的に相手を押し込む行為」が、ウェイトトレーニングの「プレス系」の力の使い方に近く、つい力比べをするかの様にグイグイ押し込んでしまうのです。
何故押し込むのか
じゃあなんで効かないのに押し込むのかと言ったら、結論から言うと試合の判定に響いてくるからです。
競技上の特性がある
試合というのは「ルールにのっとった上で強い方」が勝ちますが、この試合という「競技の特性」を念頭に入れて戦わなければなりません。
試合というのはルールがあり、審判がいます。
技有りや一本などのポイント差が無い場合は、審判による判定によって勝敗が決まりますよね。
その時にダメージは無いケド攻撃を喰らって下がってばかりの選手と、押し込む突きだけど相手を下げさせて自分は前に出ている選手。
こういった場合は下がっている選手は消極的と判断され、判定では負けてしまいます。
なので選手は技有りや一本を狙いつつ、判定でも有利になる様に下がらず前に出て戦うことが求められます。
こういった試合という競技の特性上、相手を下げさせるために押し込む突きが使われるのです。
普通に押せば良いのでは?
新極真会のルールで「掌底(しょうてい)押し」は禁止されているので、反則行為になります。
たまに攻撃の合間に掌底押しを織り交ぜて相手を下げさせつつ攻撃をして前に出る選手もいますが、あれは反則行為なので逆に掌底押しをしている選手が「注意」を取られるので注意して下さい。
まとめ
力で押し込む突きというのは、全てが悪いというワケではありません。
相手を崩したい時や少し距離を取りたい場面なんかでは、僕も普通に使います。
ですが効いているかと言ったら、ただ力で押されているだけで「効いていない」事がほとんどなので、相手を下げさせたからといってダメージは期待出来ません。
こっちの攻撃が効けば自然と相手も下がるので、理想は効かせて相手を下げさせる事になります。
なのでダメージ狙いの突きを放ちつつ、要所で突きを押し込んで相手を崩す。
使い分けて組手を有利に進める事が一番良いと思います。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。