段位というのは日本の武道特有のモノではないでしょうか。
ボクシングとかキックとか、プロスポーツには「段位」や「級」など分かりやすいランクの付け方はしていませんよね。
そんな中、極真の試合を見ていて最初に思う事が「次の試合は弐段と初段の試合だから、普通にやったら弐段が勝つよね!」ってなると思います。
今日は組手の強さと帯(段位)の関係性について解説していきたいと思います。
よろしくお願いいたします。
級位と段位とは
新極真会には「級位」と「段位」があり、「級」が上がるごとに帯が変わります。
10級 オレンジ
9級 オレンジ一本線
8級 青
7級 青一本線
6級 黄
5級 黄一本線
4級 緑
3級 緑一本線
2級 茶
1級 茶一本線
初段 黒
サクッとまとめましたが、黒帯まで到達するのにこれだけあり、しかも審査は年に4回しかありません。
という事は初段を取るまでに最短でも3年ほど掛かります。
長い道のりです。
昇級・昇段とは
昇級や昇段する時には審査をするのですが、この審査は組手の強さだけを見るモノではありません。
2. 移動
3. 型
4. 組手
以上の4つを審査されます。
実際には、この4つプラス補強運動(腕立て伏せなど)が入ってきますが。
上記の内容で重点に置かれる内容が、僕の経験からすると「基本」「移動」「型」が大事ではないかと思います。
審査とは「空手のレベル」を審査しているのであって、組手の強さを審査しているワケではありません。
審査中、型を忘れてしまって号令についていけず、横目で周りを見ながら騙し騙しその場をしのいでも、師範にその姿を見られていたら落とされる可能性が高いです。
逆に組手では、言葉は悪いかもしれませんが一生懸命やった結果、引き分けや負け(実際は負けはあまり無いと思う)が多くても、規定の人数をやりきれば問題無いと思います。
なので、強いから帯が上がる。
弱いから審査に落ちるという事は無いので、結果的に帯と組手の強さというのは関係無いんです。
組手の強さとは
結論として組手の強さは、帯とか関係なく、基本稽古終了後にミット打ちやスパーリングをこなしている人が強くなります。
基本稽古には参加せず、審査を受けず、自由時間になったら道場に顔を出してミット打ちやスパーリングだけをやって帰る人も中には居ます。
こういう人は、黄帯とかでも黒帯以上の戦闘力があり、公式の大会に出場しても十分勝ち上がれるだけの強さを誇っているので、大物を喰ったりする事もしばしばあります。
代表的な大物を喰った試合
極真会館(松井派)第28回全日本大会の「岩崎達也選手 VS 野地竜太選手」戦が、大物を喰った試合という意味では有名ではないかと思います。
岩崎選手は既に全国区に名前が売れており、指折りの実力者でした。
一方の野地選手は全くの無名で、誰もが岩崎選手が勝つと思っていた試合でしたが、結果は野地選手の右上段回し蹴りが岩崎選手にヒットし、野地選手が一本勝ちで勝ちあがりました。
この時、野地選手は茶帯を締めて出場していましたが、実際は黄帯だったという話です。
全日本大会に出れる目安
上記で挙げた例は稀ですが、僕の経験上では3年間マジメに組手の稽古をやり込めば、全国レベルの大会に手が届いてくるのではないかと思います。
マジメというのは、3年間全ての空き時間を空手に捧げて、空手中心の生活をする事をさします。
その位の練習をし続ければ、3年たった頃には身体も出来上がって取り合えずは自分の組手のスタイルも出来ているはずです。
交流試合などでは勝てる実力が付いていると思います。
なので、パンフレットを見て空手歴が3年以上だったならば、もう段位に関係なく、油断は出来ないという事になります。
空手歴と強さ
空手歴が長いと経験と肉体の成熟度と技の熟練度が増すので、打たれ強く、スタミナ配分も上手くなり、動きのキレイな組手になりますが、これは経験者にとっては技が読みやすい動きになります。
逆に空手歴が浅い無名の選手というのは荒削りな反面、動きが読みにくい傾向にあります。
「え!?その予備動作だったら普通ならこの攻撃だろ!?」みたいな、こっちの読み通りの動きをしてこない事があるので、ポカミスをしない様に注意深く試合を進めていかなければなりません。
でも、試合が始まってしまったら勝負の確率は「50:50」なので、ベテランだろうが初出場だろうが有利・不利という概念はそこにはありません。
目の前の試合の集中するのみです。
まとめ
今回は帯(段位)と強さは関係あるのかを解説しました。
正直関係はないです。
極端な例を挙げれば、他団体の世界チャンピオンが入門してきたら極真では白帯ですが、組手をしたら勝てる人間はほとんど居ないですよね。
それと一緒です。
「努力をした者が勝つ」。これに尽きます。
個人競技の良いところです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。