基本稽古の三戦立ち・移動稽古・型など、空手の稽古中は何かしらの「立ち方」で稽古していると思います。
その時に指導員から「重心はつま先に置いて下さい」と言われると思いますが、つま先に重心を置く時、どこに重心を置いていますか?
三戦立ち・前屈立ち・後屈立ち・騎馬立ち、稽古をしていると色々な立ち方をしますが、全部に共通して言えるのが「つま先重心」です。
今回はつま先重心に関して解説していきたいと思います。よろしくお願い致します。
目次
何でつま先重心じゃないといけないの?
よくというか、絶対に言われる「つま先重心」ですが、このつま先重心って何の意味があるのか簡単に説明します。
重心や軸が安定する
つま先重心になると身体の重心や軸が安定します。
例えばかかとに重心を置いて立った場合、前から押されてしまったらいくら踏ん張っても後ろにバランスが崩れてしまいますよね。
これは鍛えられている黒帯の人でも白帯でも同じで、かかとに重心を置いていたら崩れやすく不安定な状態になってしまうので、つま先重心が重要になります。
次の動作にすぐ移れる
つま先重心だと、次の動作に移る時のタイムロスが無くなります。
またかかと重心で例えますが、例えばかかと重心の状態から「前に一歩踏み出す」動作をした時、「重心を前に移す→1歩踏み出す」という2挙動になってしまいますよね。
この「前に重心を移す」というコンマ何秒のタイムロスが無駄であり、周りから見ている人にはモッサリ感を与えてしまって移動や型では見栄えが悪くなります。
組手でも、重心を移すコンマ何秒のタイムロスで相手の攻撃を被弾してしまったり、逆に攻撃に移る時のチャンスを逃してしまう事もよくあります。
なので重心移動のタイムロスを無くす為に、つま先重心で安定させている事が大切になってきます。
中足(ちゅうそく)重心になっていないか?
中足重心はつま先重心ではない
「つま先重心で立って下さい」と言われた時、つま先ではなく「中足(ちゅうそく)重心」になってませんか?
中足とは背伸びした時に地面に設置している部分です。前蹴りを蹴る時に当てる部分ですね。
多分ですけど、つま先重心で稽古をこなしている人はほとんど居ないのではないでしょうか。
「疲れるからやってない」じゃなくて、その立ち方自体を気付いていない・知らない人が大半だと思います。
大体の人が「足の指寄りの中足重心」で終わっていると思います。
中足重心でも前寄りに重心があるので挙動が安定している様に見えるのですが、つま先重心に比べると弱くて崩れやすいです。
足の指が浮く
足の指が浮くというのは、重心が掛かっていない証拠です。
移動稽古や型で号令が掛かり1歩前に出す時、かかとから擦り足で踏み込んでいる人はその時点で重心がかかとに移ってしまっているので、つま先重心ではありません。
「かかとに重心を移動させる」→「かかとから踏み込む」→「踏み込み終わる」→「踏み込み終わった後につま先に重心を移動させる」というムダな動きをしている事になります。
つま先重心とはどういう状態か
つま先とは文字通り「爪先」なので、「足の指重心」ではなく「足の指の爪の先端に重心を置く」という事です。
この「足の指の爪の先端に重心を置く」という事を意識して立ってみるとどういう状態になりますか。
多分、よく言われる「足の指で地面を掴む」という状態を超えて、「足の指の先端を地面に突き刺している」という感覚になるハズです。
この状態が真の「つま先重心」であり、ほとんどの人が「足の指で地面を掴んでいる中足重心」なのではないでしょうか。
まとめ
今回はつま先重心について解説しました。
大体の人が「中足重心の状態で足の指で地面を掴んでいる」のではないでしょうか。
これはつま先重心ではないので、意識して変えていく必要があります。
向上心があり、本当に型が上手い人とかを見るとキチンとつま先重心になっていて、文字通り「身体の先端まで意識が行き届いている」状態になって自然と見ちゃいますよね。
移動や型の洗練性もそうですが、組手でも重心移動の時間が省けるのでタイムロス無く次の動作に移行出来るので、結果的に強くなります。
つま先重心で立ち続ける事は疲れますが、つま先重心が出来る様になるとワンランク上のレベルに移行できるので、良かったら試してみて下さい。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。