基本稽古・移動・型などを行っていると、引き手というのが必ず存在します。
引き手というのは突き手と反対側の、脇の下に引いてある手の事です。
この引き手が甘く、脇が空いたり引きが甘い人が結構多いんです。
今回は引き手の甘い人はどんな状態なのか、どうすれば改善に向かうのかを解説していきたいと思います。よろしくお願い致します。
何で引き手が甘くなるの?
突き手に意識が集中してしまっている
引き手が甘くなる原因の1つが、「突き手に意識が集中してしまっている事」が挙げられます。
っていうか、初心者の人はほとんどこれだと思います。
当たり前ですよね。
「オッシャー!パンチをブチこむぜ」って思っているのに、突き手じゃない方の手を意識して打つなんて普通の人はしませんから。
こういう人は、突き手の拳はきちんと握り込んでいて手首も真っ直ぐに保てている反面、引き手は脇ではなく胸の下あたりにあって握りも甘くなっている事が多いです。
なのでこの突き手に集中してしまっている意識を、一旦引き手だけに意識を持ってきて構わないので、引き手をきっちり引いて下さい。
逆に引き手をしっかりと引く事によって、普段よりも突き手が伸びたのではないでしょうか。
突き手に意識が行くと引き手が甘くなりますが、引き手に意識を持ってきても突き手は甘くなりません。
なので突き手意識するのではなく、引き手を意識してそこから徐々に突き手側に意識を移していけばバランスよく修正できると思います。
脇が空いちゃう場合はどうしたら良い?
脇が空いてしまう場合は?
これもあるあるなんですけど、引き手をギュッと引くと今度は脇が空いたりする事があります。
「脇を締めて!」と言われた時、ヒジをキュッと内側に締めて脇を締めると思うのですが、これだと見た目的には脇が締まっている様に見えますが、実際の身体の動きとしては「腕が締まっている」状態なので脇が締まっているわけではありません。
んじゃあどうすりゃ良いのよ?ってなると思いますが、こういう時はヒジを内側に締めるのではなく、背中の引き手側の「肩甲骨」を内側に寄せて締めてみて下さい。
突き手側の肩甲骨は寄せずに、引き手側だけ内側に寄せます。
そうすると自然と胸も開き、空いた脇も締まり、引き手もきちんと引けている状態になると思います。
こうなってくると最初は腕の力だけで突いていたのが、段々と身体を使って突ける様になってくるので、突きの威力も上がり身体の軸も安定してきます。
引き手をしっかりする事によって、突きの威力が増すのです。
なので引き手をまずはしっかり引き、最後に肩甲骨を寄せて(締めて)、腕ではなく身体で引く事を覚えて下さい。
まとめ
基本稽古や型など、空手の動作を行う上で必ず発生する動作が「引き手」です。
この引き手、最初の内はおろそかになってしまって意識の外側にあると思いますが、これがしっかり出来るのと出来ないのとでは、身体の操作性や空手の熟練度に大きく関わってきます。
「実戦で引き手をしっかり引いて、そこから突くなんてしないだろ!?こんなんやっても意味ねーじゃんよ!」
確かに実際に脇の下にしっかりと腕を引いて、そこから突くなんて事は実戦ではしません。
しかし、その身体の使い方や意識の持っていき方は応用して使えます。
普段の組手の構えからパンチを突いた時の、片方のガードしている腕の有り方や、突く時にガードしている腕の動かし方で突きのダメージも変わってくるのです。
こういう、基本稽古で身に付けた身体の操作性を組手に応用すれば組手も強くなりますし、逆に組手をやっていて気付いた技術を基本稽古に応用してまた組手に役立てる。
こういう事の繰り返しで少しずつ強くなっていくので、まずは引き手をしっかり引ける様になり、身体の操作性の第一歩としてみてはどうでしょうか。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。