極真空手の試合ルールで有名なのが「手での顔面攻撃禁止」ですけど、他にも色々な禁止事項があります。
その中で、一度も発動された事の無い「技の掛け逃げ」というがあるのをご存じでしょうか。
このルールは最初からあったワケではなく、途中から追加されたルールなんですが、追加されたにも関わらず僕の記憶では今まで一度も発動された事がないルールです。
このルールが追加された事により、どのような変化があったのでしょうか。
今回は「技の掛け逃げ」について解説していきたいと思います。
よろしくお願いいたします。
目次
技の掛け逃げとは?
技の掛け逃げ
この動画の2分50秒あたりから技の掛け逃げの解説があります。
一方が攻めていて、もう一方が胴回し回転蹴りを放つ場面です。
極真の試合ではよくある光景ですが、開始線から再開後も、攻められている方が胴回し回転蹴りを連発して試合を中断させまくっています。
極真空手のルール上、倒れている相手には攻撃できないので、これをされてしまうと試合になりません。
この様な行為を防止する目的で作られたルールが「技の掛け逃げ」になります。
技の掛け逃げを行うメリットとは?
攻める側のメリット
反則行為なのにメリットって何だ?って話になるんですが、メリットがあるからやる人がいるワケです。
攻めている側のメリットは、ズバリ時間稼ぎです。
試合を優勢に進めている立場からすると、一番気を付けなければならないのが上段蹴りを喰らっての技有り、もしくは1本を取られてしまう事です。
ラッキーパンチ的なカンジで一発でも上段蹴りを喰らってしまうと、全てが水の泡になってしまいます。
「押してんだから、慌てずに落ち着いてれば喰らう事無いだろ?」
って思うかもしれませんが、押してる側は押してる側で不安に思う事はあり、慎重になりナーバスになります。
「ボディや下段は全部喰らっても良いから、上段のガードだけは絶対に死守する!」
最終手段的にこの様な気持ちになったりするので、時間稼ぎの目的で掛け逃げを使う事があります。
攻められている側にメリットは無い
攻められている側って、掛け逃げをしてメリットって無いんじゃないかって思います。
何故なら、掛け逃げをして時間を無駄に消費してしまったら負けが確定するからです。
胴回し回転蹴りなどを放って一旦試合が中断しても、時間はストップせずに進み続けます。
攻められている方は攻められている方で、「押されている」と自分で分かっているので、時間をフルに使って挽回しなければなりません。
そんな中、自分から中断させて時間を消費してしまったら負ける確率が高まるだけです。
唯一のメリット?と言えるか分かりませんが、ダメージが酷くてブッ倒れるのを何とか耐えてるという状態だったら、時間稼ぎをして技有りや1本負けを回避してプライドを保てるという位だと思います。
押されている側が胴回し回転蹴りを連発して時間稼ぎをしだしたら、試合展開的に敗色濃厚という事になります。
何で「技の掛け逃げ」を取らないのか?
判断が難しいから
この「技の掛け逃げ」が追加されたのは第26回全日本大会からですが、ここから僕の記憶だと1回もこの反則を取ったという事は無いと思います。
地方大会とか、予選とか、僕が見たこと無い試合で発動した事があるかもしれませんが、20年以上経った今でも多分発動した事は無いと思います。
何で取らないのかというと、コレはもう「判断が難しい」という事じゃないでしょうか。
ルール説明の様に、あからさまに分かりやすい状況だったら取るかもしれませんが、試合の流れで1~2発胴回し回転蹴りを蹴った所で「ウ~ン・・。」ってカンジですよね。
胴回し回転蹴りを蹴る選手だったら、本戦だけでも2~3発は蹴る事もありますし、判断が難しいです。
塚本徳臣選手が使っていた縦回転の胴回し回転蹴りは、スカしても前転の要領ですぐに立ち上がって倒れ込む事は無いんですけど、それでも胴回し回転蹴りを放った時点で審判が試合を一旦中断します。
故意か、倒そうとして技を出したのか判断が難しいので、ルール上反則だよっていう事にして、選手に抑制させているというのが現状になります。
まとめ
今日は、1度も発動された事の無い「技の掛け逃げ」について解説しました。
極真ルールで言うと、胴回し回転蹴りで試合が中断するのを抑制させる目的で制定されたルールだと思われます。
掛け逃げという言葉から、押されている側が逃げる目的で使われるのかと思いきや、押している側が時間稼ぎで使う事が多い「技の掛け逃げ」。
多分、この先も発動する事は無いと思いますが、こんなルールが過去に追加されていたという事を紹介致しました。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。