極真空手の試合を観ていると、判定になった時はまず副審4人が旗を上げるじゃないですか。
そして主審が副審達の判定を読み上げて、最後に主審の判定を声に出して発しますよね。
コレってどう思いますか?
極真空手の試合では、判定の場合、主審の判定は最後の最後まで分かりません。
副審の判定なんか関係無しに判定を下している事が前提ですが、微妙な判定なら副審の判定を見てから、最終的に判断する事もあるかもしれません。
今回は主審の判定について解説していきたいと思います。
よろしくお願いいたします。
目次
判定までの流れと不公平を生むポイント
判定って何?
試合中、技有りや減点1など、判定に大きく響くポイント差が無い場合は「どっちが優勢だったか」を審判が判定します。
副審4人と主審1人、計5人が判定し、3つ以上の旗が上がれば優勢勝ちとなります。
勿論引き分けの判定もあります。
なので判定が2-0とかだった場合は優勢勝ちにはならず、延長戦へと突入する事になります。
どんなカンジで判定されるの?
試合終了後、選手が開始線に戻った後に主審が「それでは判定を取ります、判定!」と言います。
主審が判定の指示を発したら、まずは副審4人が旗を上げます。
赤か白、どちらかの旗を上げるか、あるいは引き分けかを旗で示します。
この段階ではまだ主審の判定は一切分かりません。
そして主審が副審達の判定を読み上げて、最後に主審の判定が初めて読み上げられて最終的な結果が分かる事になります。
どこが不公平なんだ?
不公平というのは、この「副審達の判定を読み上げてから、最後に主審の判定が読み上げられる」という所です。
なんでや?って思うかもしれませんが、例えば旗が1本、もしくは3本以上あがっていたら、これは主審がどう判定を下そうとも結果は変わりませんよね?
旗が1本しか上がっていなかったら1-0か、主審がそっちに乗っかっても2-0で結局引き分け。
旗が3本以上だったら、主審が引き分けの判定を下そうとも最低でも3-0で、副審達の判定ですでに優勢勝ちが決定していますから。
不公平なポイントというのは旗が2本しか上がらなかった時です。
この時点だと、主審の判定で引き分けにも優勢勝ちにも、どっちにも転ばせる事が出来ます。
例えばの話、副審達の判定が白2、引き分け2の2-0判定だったとします。
主審も「白のが優勢だったな」と思っていても、「2-0だったら引き分けにして、延長で決着を着けさせるか」という、後から状況を見て判定を変えるという事が出来てしまうという事です。
ここが不明瞭であり、不公平なポイントになってくるという事です。
2-0、もしくは2-2だった場合の主審の読み上げ方
大体は後に読んだ方に乗っかる
主審は大体、後に読み上げる方に乗っかって判定を下します。
どういう事かというと、副審の旗が2本上がって2-0だった場合、もし自分が引き分けだと判断したら「白イチ、ニ、引き分けイチ、ニ、サン、引き分け!」という風に、自分の判定する方を後に読み上げる事がほとんどです。
逆に優勢だと判断したら「引き分けイチ、ニ、白イチ、ニ、サン、白!」という風になるワケです。
読み上げる順に決まりは無いので結局の所は最後まで分からないんですが、自分の判定は後に読み上げる方に乗っかるケースがほとんどです。
例として第26回全日本大会4回戦の岡本徹選手VSニコラス・ぺタス選手の試合で、この試合は本戦・延長・再延長・体重判定・試割り判定でも決着が着かなかったので、引き分け無しの再再延長に突入するという試合になりました。
そして再再延長の副審たちの判定も2-2で、最後は主審の判定に委ねられる事になりました。
ここで主審は「赤イチ、ニ、白イチ、ニ、サン、白!」という風に読み上げます。
大体はこの様に、後に読み上げる方に乗っかって自分の判定を読み上げる事になります。
乗っからないパターンもある
これは後に乗っからなかったパターンの試合なんですが、第26回全日本大会の1回戦の、瀬戸口雅昭選手VS杉原健一選手の試合です。
1回戦なんで予選なんですが、この試合は再延長で引き分け無しの判定決着になりました。
そして再延長の副審たちの判定は2-2で、この試合も主審に判定が委ねられました。
この主審は「赤イチ、ニ、白イチ、ニ、主審、赤!」という風に、乗っからないパターンの判定をしました。
なので結局最後まで判定は分からないんですが、ほとんどは最後に読み上げる方に乗っかる事が多いです。
第12回全世界大会決勝戦で主審が迷った?
島本雄二選手VSマシエ・マズール選手
新極真会の第12回全世界大会の決勝戦なんですが、僕はYoutubeのライブ配信で観戦していました。
そして本戦の判定になった時、副審の判定は2-0で島本選手に旗が上がりました。
この動画の4分40秒辺りになります。
そして主審が判定を読み上げる時、「引き分けイチ、ニ、白イチ、ニ、・・・サン、白!」という風に、一瞬の間が空きました。
主審の動作を見ていても、手元が迷っています。
これはスッキリしないというか、決勝戦に水を差したなと僕は思いました。
これだけを見ていると主審は「本当は引き分けにしたかったけど、会場の雰囲気的に白と言うしかなかった」っていうカンジに見えます。
本当は「引き分けイチ、ニ、白イチ、ニ、主審引き分け!」という風に、乗っからないパターンの判定をしたかったんじゃないだろうか?
これには原因があって、主審が「引き分けイチ、ニ」と読み上げた瞬間、会場の観客が沸きます。
これは会場の観客も「先に引き分けって言ったって事は、主審は白だ!」と思ったから、引き分けを先に言った瞬間に3-0で島本選手の勝ちだと先走って判断してしまい、沸いたのです。
皆も主審の判定は後に乗っかると思っているので、この観戦者の反応はムリもありません。
そして主審なんですが、引き分けを口にした瞬間に観客が沸いて雰囲気的に島本選手の勝利ムードになってしまったので、本当は引き分けにしたかったが、迷いつつも白に上げてしまったんじゃないのか?という風に見えてしまいます。
乗っからないパターンの判定をしたかったけど、雰囲気的に乗っかる判定をせざるを得なかった。
もしくは世界大会の決勝戦だし、本戦で微妙な判定を下すなら1回引き分けにして、延長戦で決着を着けさせようと思っていたのか。
この試合を観るとそう見えてしまいます。
主審同時上げにすれば公平だけど
主審同時上げだと公平性は明らか
JFKOの試合では、主審同時上げが採用されています。
この山本和也選手VS落合光星選手の試合の判定では、副審は白2、赤1、引き分け1でした。
複雑な判定ですが、主審も副審と同時に判定を上げていて、主審は白に上げています。
なのでこの複雑な判定の中、最初から明確に白3、赤1、引き分け1と、判定のコールと共にハッキリしたワケです。
何の文句も無く、ハッキリした判定で皆納得ですよね。
まとめ
今回は主審の判定が最後まで分からないには、時には不公平なんじゃないか?という事を解説しました。
副審の判定が2-0だった場合、全ては主審に委ねられますが、副審の判定を見てから判定を変えてるんじゃないか?と思う場面はチョイチョイありますよね。
ハッキリ言うと、大体は1回引き分けにして、延長戦に引っ張る判断を後からしているんじゃないか?という事です。
特に決勝戦や名前が売れている選手の試合などはこういう傾向にある様に思います。
確かに微妙な判定で決着させるよりも、1回延長をカマして決着させるという考えも十分分かります。
大会としても盛り上がりますから。
この判定のおかげで過去の色々なドラマが展開されてきた事も事実ですが、副審の判定を見てから主審が判定を決めちゃイケないだろうとも思います。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。