極真空手をやっていると、ウェイトトレーニングをやっている人が多い事に気付くと思います。
「技は力の中にあり」
空手バカ一代に出てきた名言ですが、試合に出る様な人はほぼ全員行なっているのではないでしょうか。
ウェイトトレーニングをやると筋肉も付いて力が増すし、体重も増えるし極真空手をやる上で良い事しか無い様に思えます。
しかしウェイトをやったから強くなるというのは少し違うので、そのへんで起こってしまう勘違いを解説していきたいと思います。よろしくお願い致します。
なんでウェイトってやるの?
ウェイトをやるメリット
僕の考えるウェイトトレーニングをやるメリットというのは、試合に出る人が相手の攻撃のプレッシャー(圧力)やダメージに耐える為に行う。
コレに尽きると思います。
筋肉という肉の鎧をまとう事によって防御力が上がる事と、体重を増やして力を付けた事によって相手からの「押し」に対する抵抗力を増して下がらなくなる。
ウェイトトレーニングをやる事で得られる恩恵の80%くらいがコレだと思います。
じゃあ残りの20%が攻撃力アップかと言ったらそうでもなく、攻撃力とデメリットの半々くらいかな?という印象です。
ウェイトをやったらパワーが増して攻撃力が格段に上がって、オラオラいけるって思ってしまいがちですが、実は攻撃力にはあんま関係ないんじゃないかって思います。
攻撃力とはあまり関係が無い
ウェイト=攻撃力アップではない
ウェイトトレーニングをやると「強くなる」と思っている人が多いと思います。
何を持って「強くなる」かなんですが、攻撃力が上がるかと言ったら少し違います。
「パワーが上がってんだから攻撃力も上がってなきゃおかしいだろ!?」って思いますが、そういうモンなんです。
直線的に押し込む力は上がるので、突きを突いた後にそのまま相手をグイッと押し込むとかそういう事は得意になると思います。
拳で相手を押し込む事は得意になりますがそれは攻撃ではありませんし、相手も押し込まれてスタミナは消費しますが見た目ほどダメージは無いです。
「んじゃあオレのベンチプレスのMAX120kg上がるこのパワーはどこ行ったんだよ!」って疑問に思うと思います。
これはウェイトトレーニングをやる前とやった後で増えているモノがありますよね。
そう、体重です。
腕や胸、脚など全身に筋肉が付いて体重が増える事によって、その重くなった腕や脚を振り回す(動かす)事で相殺されてしまっているんです。
なのでウェイトトレーニングをやって攻撃力がアップするのは、相手に当てた時のパワーではなく、ウェイトトレーニングをやって手足が重くなった分、ダメージが増すという事になります。
軽い棒と重い棒で例えると分かりやすいですが、軽い棒で叩かれるよりも重い棒で叩かれた方がダメージがでかいですよね。
それと一緒です。
重い棒を軽い棒と同じ感覚で振り回せる様になるのが、ウェイトトレーニングでいう攻撃力アップという事になります。
ウェイトをやる事で起こる最大のデメリット
ウェイトトレーニングをやる事で起こる最大のデメリットは、組手のスタイルが変わってしまうという事です。
これはどういう事かというと、ウェイトトレーニングというのは「直線的な単一運動」が多いです。
高重量になるほど直線的な単一運動になり、複合的な動作はほぼありません。
ベンチプレスで簡単に例えます。寝た上体でバーベルを持つ → 胸まで下げる → 上げる という動作をしますが、この動作は直線的にバーベルをブラさずに行います。
そうすると直線的に動かす筋肉が鍛えられる事になります。
ウェイトトレーニングはこういった「レールの上を動いている様な決まった動作」を行うので、直線的な動きに特化した筋肉が付いてきます。
そうするとどうなるかと言ったら、組手もフットワークを使う事が少なくなり、直線的に押し込む組手になってきます。
「そんなん気を付けて前と同じ風に組手をすりゃ良いじゃんよ!」ってなりますが、多分ムリだと思います。
体重を極力増やさずにパワーだけ上げるトレーニングをしたら平気だと思いますが、体重も増えて自分の中で「肩や胸周りが肉肉しくなってきたな」って思ったら多分難しいでしょう。
「オス!自分は元々ワンツー下段で直線的に攻めるタイプであります!」っていう人だったらガンガンウェイトトレーニングをやって体重もガンガン増やせばOKですけど、フットワークを使って攻撃を捌いてっていう組手の人は、気付いたら正面で直線的に押し込む組手になってしまうと思うので、その辺りがデメリットになります。
まとめ
今回はウェイトトレーニングを行った時に発生するデメリットを紹介しました。
ウェイトトレーニングで付けた分厚い筋肉は、組手を行う上での防御の役割りを果たしますので、その恩恵はかなり感じる事が出来ます。
しかし、筋肉を付け過ぎてしまって体重も10kg~20kg増えてきてとなったら気付くと思います。
いつの間にか相手の正面に立って、真正面から直線的に押し込む組手になってしまっている事を。
これはウェイトトレーニングをやる上での弊害で、空手の技術云々ではなく、ウェイトトレーニングで鍛えた「力比べ」をしている状態になってしまうんです。
僕自身こうなったからこうなる気持ちも十分分かりますが、こうなると個性が死んで「ただ力が強い方が押し込んで終わり」っていう状態になるので、自分の適性体重をよく理解して間違いの無いトレーニングを行って下さい。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。