回し蹴りを蹴る時、ほとんどの人は背足(はいそく)かスネを当てて蹴ると思います。
僕もそうです。
しかし、中足(ちゅうそく)を当てて中段回し蹴りを蹴る事により、相手にダメージをより与える選手がいました。
塚本徳臣選手です。
中足で中段回し蹴りを蹴る事で、威力を稼いで相手にダメージを与えていく塚本徳臣選手の試合を今回は紹介していきたいと思います。
よろしくお願い致します。
第28回全日本大会の決勝戦で中足の中段回し蹴りが炸裂した
塚本徳臣選手 VS 鈴木国博選手
この大会は、第6回全世界大会で塚本選手が優勝した翌年に開催された全日本大会で、現役世界チャンピオンとして参加していたので、塚本選手の試合に皆が注目していました。
塚本選手の強さは全日本レベルの中でも別格で、圧倒的な強さで決勝戦まで勝ち上がっていきました。
その決勝戦、鈴木国博戦で中足の中段回し蹴りが炸裂します。
このYouTubeの新極真会の公式動画で解説すると、開始1:00ちょうどの場面で塚本選手が左中段回し蹴りをキメていますが、よく見ると背足ではなく中足で当てています。
当時発売されていた格闘技雑誌にも、写真付きで解説されていたので間違いありません。
この蹴りが効いてしまい、それを見逃さなかった塚本選手が中足の中段回し蹴りを連打して一本勝ちを収めて、塚本選手が見事優勝を飾りました。
当時、世界大会を優勝し、引退せずに翌年の全日本大会に参加して世界大会→全日本と連覇した人は居ませんでした。
塚本選手はおろか、多分試合を観に行っていた人のほとんどがその事を分かっていたと思うので、塚本選手のプレッシャーも相当なモノだったと思います。
そんな空気の中、現役世界チャンピオンとして優勝を飾り、プレッシャーから解放されて、禁じられているガッツポーズをして優勝しました。
このガッツポーズの場面は、当時発行していた「極真魂」の表紙に使われた、印象的な場面です。
何故、中足の蹴りは強いのか?
面より点で攻めるから強い
攻撃を当てる時、当てる部位の面積が小さければ小さい程、力が集約されて威力が増します。
針が刺さる原理と一緒で、針の先端が鋭利で鋭い程、少ない力で刺さりますよね。
逆に針の先端が尖ってなくて真っ平だったら、上手く刺さらず、余計に多くの力を使うはずです。
蹴りも一緒で、背足(面)で蹴るよりも、中足(点)で蹴った方のが、同じ力でも蹴りの威力が中足のが集約されるので、威力が増すのです。
でもケガと紙一重
そんな良い事だらけの中足での中段回し蹴りですが、一つ注意点があります。
中足はとてもケガをしやすい部位だという事です。
ほとんどの場合、中足で蹴るのは前蹴りですよね。
前蹴りを蹴った時、肘に中足が当たったらそれだけで鈍痛が残って結構ヒヤッとするし、当たり所が悪ければケガをします。
その前蹴りよりも威力が高い中段回し蹴りを、中足で本気で蹴るというのは、かなりの覚悟を持って蹴らないといけないという事です。
中足で本気で蹴る → 肘でガードされる → 中足骨折という事になりかねません。
なので、中足で中段回し蹴りを蹴るという場合は、よく狙いを定めて蹴るか、「ここでキメる」という覚悟を持って攻めていくかにした方が良いです。
まとめ
今回は中足を使用しての中段回し蹴りを紹介しました。
実際、塚本選手は中段を蹴る時に、中足を多用して蹴っています。
これは上手くキマれば大ダメージを与えられますが、失敗すると自分の足にそのままダメージとして返ってくる、諸刃な技術です。
もし「オレも使ってみようかなー」って思うなら、まずは背足で普通にキメれる様に練習して、そこから徐々に中足を織り交ぜていけば入れるタイミングが掴めてくると思います。
練習ではポコッと当てる程度で、力を込めて当てるのは試合だけにしましょう。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。